関西のとある山、渓谷のそばにある駅のようなもの。
山は秋深く、枯れ葉がそこら中に敷き詰められている。
この部屋は狭い空間ながら純和風のしつらえ。天井は低くてぼくの身長では頭がついてしまう。
ここはお気に入りの芸妓を囲っておく部屋。ぼくはときどき来ているようだ。
突然、ダウンタウンの松本がやってきて、「髪を切ってほしい」とやってきた。
彼は真ん中から分かれた長髪がややだらしなく伸びている。昔のフォーク歌手のようだ。
そういうことは使用人の男にやらせているが、あいにく今日はいない。
人がいないから今日は無理だと答えるも、「じゃあお前がやれ」と言って帰らない。
髪を切るなんてやったことがないけど仕方がない。やってみよう。
でも道具がない。あるのは安全カミソリだけ。
しょうがなく安全カミソリを松本の髪に当ててザクザクと切っていく。
両耳の辺りまで髪を切りそろえ、松本は上機嫌で帰っていった。