ぼくは石でできたお城みたいな大きなお屋敷に住み込みで働くことになった。
家の主人や他の使用人の顔を見ると、ここはどうやらイタリアみたいだ。
「ここは数百年も前からある由緒正しい建物なんだぜ」
一緒に働くことになる使用人仲間が言った。
ぼくは「数百年前ねぇ」と言いながら窓の外にあるものを手に触ると、最新鋭のスピーカーが。
家の主人はパーティーをやるからと言い残してさっさと家の庭に行ってしまう。
主人についてエレベーターに乗ろうとしても、すんでのところで乗り損ねる。
遅れて行くと、パーティーの参加者から準備はまだかとブーイング。
外はうっすらと霧雨。日は落ちている。
一番怒っているのが余興で歌うミュージシャン。
彼女は自前のギターを抱えてアンプのセッティングを早くしろと言っている。
あわててセッティングするととても満足げ。
どうやらフランス人らしい。背は小さくで長い金髪のソバージュ。頭でしばっておでこがよく見えている。
セッティングのあとぼくのそばに寄ってきて、
「生まれ変わりってあると思うの」とフランス語で言った。
ぼくは「フランスではそういうことはないんじゃないの」とカタコトのフランス語で答えていた。